爆走日記 ‐アタカマ編①‐

2019年9月29日

STAGE1:NAVIGATION BY ROCK

distance35.0km/elevation↑371m/elevation↓944m

 

さぁ!冒険のはじまり!

スタートラインに立てた。それだけで、もう、ちょっと泣きそうです。ここまで来るのにも、あっという間のようで、長い長い道のり。九州の大分から、韓国仁川へ、アメリカアトランタへ、チリの首都サンティアゴからカラマへ、移動時間だけで50時間、丸3日!

 

レース前日から、アタカマ砂漠にキャンプイン。標高3,206m。明け方は気温がマイナスに。まだまっ暗闇のAM5:00頃から、サークル上に立てられた十数基のテントの中心に、ボランティアスタッフの方々が、お湯を沸かしてくれています。世界中から集まった砂漠ランナーの猛者たちも「寒い、寒い」と言いながら、火の回りに集まり、各々朝ごはんを食べます。

 

砂漠での食事は、朝昼晩すべて自前。1日2,000kcal以上の食料を持つことがルールで決められています。レースは7日間なので、スタート前には14,000kcal分の食料を持っています。いつ、何を、どれだけ食べるのか、自分で考えて補給しなくてはなりません。

 

カレーメシをお腹いっぱい食べてエネルギー満タン。軽く準備体操をして、13㎏のリュックを、よっこらしょっと背負い、いざっ!『AtacamaCrossing2019』と書かれたゲートの下に集います。テンションを上げてくれるノリノリの音楽。そして、10、9、8、7・・・・、とカウントダウンが始まり、選手の誰もが飛び出していきたくて、うずうずしています。

 

AM8:00、「START!!!」の合図とともに、250kmの旅が始まります。カッコよく颯爽と駆け出したいところですが、ゴツゴツした足場に、狭い急な下り斜面、「Take it easy」と、スタッフさんも叫んでいるので、安全に、よちよち歩きで一歩一歩。はじめてのアタカマ砂漠。右を見ても、左を見ても、見たことのない景色に、わくわく胸が躍りっぱなしです。

 

ピンクフラッグ

雄大な大自然の中の大冒険。道なき道を、どうやって進むのかというと、小さなピンクのフラッグを探しながら、走ります。横幅20㎝×縦15㎝くらいでしょうか、これが刺さっている方向に行けばいいのです。

 

「あら?そういえば、しばらくピンクフラッグ見ていないなぁ」と思ったら、要注意!ロスト(迷子)になっている可能性・大!!!何せ、道路ではない、不整地を走っているので、つい足元ばかりを見て、旗を見落とすことが多々あります(前科あり。サハラでは3人で仲良くお喋りに夢中になっていたら、マークを見落とし4kmほどコースアウト)。

 

そうなったら、旗が確認できるところまで引き返さなくてはなりません。あぁ、損した。とか言ってる場合ではありません。そのままズンズン進んでいったら、もぅ二度とお家に帰れなくなってしまうかも。

 

それは、困る!立ち止まって、あたりを見回し、後から来るランナーを待ちます。一人、二人、、、、六人、七人、あら?ロスト仲間が、どんどん増えていく。「ここまではあってるよね?」「Yes、旗はあった」「でも、この先の旗が見当たらないよね?」「yes、どこにも見えない」。集団ロストです。旗がない。360度の大パノラマ、皆で立ち往生。さて、どちらへ行きましょうか。進む方向が、まったく分かりません。

 

しばらく、国籍を超えたワールドワイドな井戸端会議をしているうちに、バイクに乗ったコーススタッフさんが、「あっちだ!俺についてこい!」みたいなことを言っています。どうやら、このエリアの地主さんが、「俺の庭を汚すな」と旗を引っこ抜いてしまったそうな。わぉ。そんなことってあるのね。すみません、お邪魔しました。

 

脱水症状の対処法

大体10kmおきにチェックポイントがあり、そこでお水の補給をします。日中は30度を超えるアタカマ砂漠。10kmも進めば、ボトルのお水が空になります。この日、2つ目のチェックポイント(CP2)で、スタートしてから初めて日本人の選手に出会いました。

 

高橋君は、とっても爽やかな好青年。3つ年下ということと、名前も弟と同じ!ということで、勝手に親近感を抱きながら、お喋りしていたら、あっという間にCP3に到着。「ゴールまであと、たったの6kmだね~」なんて、余裕かましていたら、即!天罰が下りました。

 

軽い全身痙攣・めまい、脱水症状です。あとたったの6km、ん?なんかきついぞ?と感じた時は、時すでに遅し。CP3から、気温が高くなり、地味に緩いのぼり。やばい、動けない。岩陰に座り込みました。「高橋君、先に行ってね」と言うものの「おいていけませんよ、一緒に休みましょう」と。か弱い姉を気遣ってくれる、なんて出来た弟なんだろうか。

 

脱水症状、何度か経験済みなので、心は落ち着いていました。涼しいところで休む(出来たら横になる)、塩分(2RUNサプリ)・水分をとる。痙攣・めまいがおさまってきたら、また動けます。※私の場合です。本来なら運動中止。無理をしないのが一番です!マネしないでくださいね。

 

塩分・水分・食料、体のバロメーター、数値化されて目ではっきり見れれば、簡単なんですけどね。ドラクエ(TVゲームです)のように、HP/MPが残り少ないから、薬草使わなきゃ!ホイミ!とか(笑)こればっかりは、何度やっても分かりません。

 

1日目、35km、6時間40分21秒。集団ロスト(迷子)になり、脱水症状で高橋君に心配かける(ごめんよ、ありがとう)も、楽しく終えることが出来ました。

 

 

爆走日記 -アタカマ編②‐ へ続く